いくつかのFCの実数をもとに理念型として作ってみた個別指導塾FCの校舎別平均生徒数
の分布図です(直営校は除いてあり、すべてフランチャイジーの教室。もちろん、この理念
型にあてはらまない個別指導FCはあります。お目当てのFCがあるのなら、この理念型と
どの程度の違いがあるか問い合わせてみてください)。
200名以上の生徒が在籍している教室がある一方で、50人未満の教室が、思いのほか多
いことに気がつくでしょう。
多くのFC個別指導塾では、同じパッケージを使いながらも、上記のように生徒数に違いが
出てくるのです。流行る校舎と流行らない校舎の違いは、各校舎ごとの立地の違いもありま
すし、競合他塾の動向も影響を及ぼします。また、出店した地域の特性と塾のカラーとの
マッチングも関係するでしょう。
しかし、それ以上に生徒数に「差」をもたらしている要因があります。
皆さん、お気づきですよね。
そうです。それぞれの校舎長の塾人としての力量の違いです。
有能な校舎長が運営する校舎と、学習塾の仕事を咀嚼できていない人が運営する校舎では、
生徒数に格段の違いがでます。
学習塾は、カタチある商品ではなく、目には見えないソフト(授業、生徒対応、保護者対
応)を売る業態ですから、どんなに大規模なフランチャイズに入ろうと、コンビニエンス
ストアなどと違ってそれぞれの店舗によって売る諸品にはクオリティーに違いがでてきます。
それは授業力の差であったり、生徒・保護者とのコミュニケーションの質・量の差であっ
たりします。
ここでもう一つ、校舎ごとの売上げに影響を及ぼす生徒一人あたりの授業料単価を見てみ
ましょう。
個別指導では、生徒が週何コマの授業をとるかによってそれぞれの生徒の月謝が違って
きます。
これも校舎によって大きな「差 」があることが見てとれるでしょう。70人の生徒が在籍していても
一人あたりの単価が2万円ならば、売上げは140万円にしかなりませんが、生徒数が50人で
あっても一人あたりの単価が3万円ならば、売上げは150万円となります。
一般的に、塾に対する保護者からの信頼度が厚ければ厚いほど、また校舎長に「商品知識」
=「教育的知識」があればあるほど生徒一人あたりの単価は上がる傾向にあります。
校舎長の教育に対する造詣が深ければ深いほど、生徒を成長させるための具体的なシナリ
オを描くことができ、説得力をもって生徒が履修するコマ数の提案ができるようになるか
らです。
これは自動車を買う場合に、セールスマンの人柄が信用ができ、自動車に対する知識が深
ければ深いほど購買者が安心して増えるのと同じですね。
こんな部分にも校舎長の塾人としての力量が端的に表出します。
同じFCのシステムを使いながら生徒数や売上げを伸ばす校舎もあれば、そうでない校舎
もあることを見てきました。
FCの協会である日本フランチャイズチェーン協会(JFA)の調査によればフランチャ
イズの売上は1993年度には11兆421,6億円でしたが、それから20年が経った2013年度には
売上高は 23兆 4,773 億円まで倍増以上を記録しています。
日本経済全体より格段に速いスピードで発展してきたFCというシステムが、起業家を
育てる有効なメソッドであることは疑いようがありません。それは学習塾業界でも同様で
しょう。
実際、私たちの顧問先でFCでスタートした塾で成功している塾も多いのですが、教育と
いう仕事では、最終的にはシステムの優劣を超えた人間力に左右される部分が大きいよう
です。
塾人としての力量とは何か、この部分を次のページではもう少し、つっこんでお話します。
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