「学習塾業界の競争の厳しさは分かった。でも、それは昔からあった集団指導の学習塾が落ち目
なだけで、フランチャイズの加盟塾が多い個別指導の学習塾のマーケットは大きくなっている」
という見方をしていらっしゃる方もいるでしょう。
学習塾・予備校業界の市場規模全体をみまわすと、1996年に一兆円を超えてから、増加は鈍り、
2002年の「教育改革」、2010年の「子ども手当て」「指導要領の改訂」で多少持ち直しました
が、少子化の影響もあってマーケットは横ばい、もしくは減少傾向にあります。
確かに、そんな中にあって個別指導の学習塾は増加し、下の折れ線グラフのように市場の占有率で
集団指導に肉薄するまでになっています。
下の折れ線グラフは、学習塾全体の中での個別指導の市場規模の割り合で、2011年度は集団指導が56.5%であったのに対し、個別指導は43.5%まで上昇したとみられています。
データで見るばかりでなく、個別指導塾が増えている現実は、皆さんが住んでいる街の風景を
ご覧になれば納得いただけるでしょう。
1980年代から90年代にかけて、まだまだ個別指導が珍しかった時代は、個別指導という
看板を掲げるだけで生徒が集まりました。
しかし、今や首都圏であれば一つの駅の周りに個別指導の学習塾が5~10教室もひしめきあって
いるというケースが少なくありません。
集団指導からシェアを個別指導が侵食していた時代は終わり、個別指導の教室VS個別指導の教室
という構図の中での生徒獲得競争が繰り広げられています。
個別指導教室が増えているのは、個別指導の方が生徒集めがしやすいという側面もありますが、自
ら教壇に立つ集団指導塾とは違って、個別指導塾は、いわば授業力がそれほどなくても、フラン
チャイズのシステムなどを使えば容易に開業ができるので、他業種からの転職や参入が多く教室数
が増加しているという見方もできます。
実際、ある大手FC個別指導塾の場合、開校している教室のオーナーの9割程度が、学習塾経験が
ありません。
競争が厳しいのは集団指導ばかりでなく、個別指導の学習塾も同様です。
いやむしろ、現在、新規に開校する学習塾のほとんどが個別指導であることから
個別指導の学習塾VS個別指導の学習塾の競争はいっそう拍車がかかっていくことでしょう。
前ページで見たように閉鎖する教室も多く、3年後に皆さんの塾が生き残っているか、
どうかは、皆さん自身の手腕にすべてがかかっています。
もし、ご自分に自信がないのなら、起業は止めた方が良いのかもしれません。
しかし、このような現実をふまえたうえであっても、
「学習塾をどうしても起業し、教育産業で成功を収めたい。
なぜなら子どもたちに○○○○○な教育をしたいからだ」と
高い志をもった方もいらっしゃることでしょう。
確かに、学習塾経営を「やりがい」という視点から捉え直してみると、
このマーケットへの見方は大きく変わるはずです。
学習塾の経営することは、未来を作ることです。
未来の日本を担う子どもたちに作ることです。
そして、学習塾で働くということは子どもたちとともに
喜び、泣き、笑いながら子どもたちの成長を実感するということです。
経営的な側面を無視した学習塾がありえないように、子供の成長を心の底から願うことのない教
育的な側面を無視した学習塾は、ありえません。
子どもたちの未来を預かる身として責任は大きいですが、教育への「志」があなたにあるなら、
学習塾は、今も魅力的なチャンスの場として皆さんの眼に映ることでしょう。
では、学習塾で成功するには何が必要なのか、こうした視点から
次には「自分だけの理想の学習塾を作る!」方法を考えてみます。
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